起業時の資金繰り設計

起業・開業

利益計画と資金繰り計画
事業計画の中の数値計画には大きく分けて、利益計画と資金繰り計画があります。
利益計画でいう利益とは、会計や税務のルールに基いて計算を行い、
会計上の利益がどれだけ出るのかといった計画です。
一方、資金繰り計画とは、実際に資金が回るのかという面について、
数値計画を行うものです。
利益と資金の違い
事業を行っていく上では、利益の金額と実際の資金額には違いが発生します。
大きな資産を購入した場合、その購入金額は一度に経費と出来ないことなどが原因です。

例えば、年間売上10億円で50億円の資産を購入したとします。
そして、この資産が会計ルールでの計算では10年間で経費にするものですと、
売上10億円-経費5億円=利益5億円となります。
一方、資金的には売上10億円-資産購入50億円=利益-40億円となります。

このように、利益と資金には違いが発生することになり、
この部分をしっかりと把握していないと、利益が出ているにも関わらず、
資金が不足して事業をやめざるを得ないということにもなりかねません。

そして、これらを数値化した計画が、資金繰り計画となります。

起業時の資金繰り設計
起業に際しては、様々な初期準備が必要となるケースが多くあります。
例えば建物を購入したり、機械設備を購入したりということです。
またそれ以外にも、事務所の備品を購入することも必要となるでしょう。
このように、起業時には、通常時よりも資金が必要となることが一般的です。
起業のために準備していた資金で足りるのか否か、見極める必要があります。

そこで、起業前にどういったことに、どれだけお金がかかるのかを
しっかりと考えておく必要があります。
これらをベースに起業時に必要な金額を算出するのが第一ステップです。

第二ステップでは、通常のサイクルに入った場合に、毎月固定的に必要な
資金がどれくらいかということを考えることになります。
固定的に必要な例としましては、事務所家賃や水道光熱費、そして何より、
起業をされる方自身の生活費です。
これら、売上の有無に関わらず毎月一定程度必要となる金額を算定します。

第三ステップでは、売上を上げるために必要となる金額を算定します。
ここでは金額というよりも、割合で考えることの方が多くなります。
例えば、100円の商品を売るために、その商品を70円で仕入れる場合、
売上に対する割合は70%ということになります。
そしてその割合とともに資金繰り計画で重要となってくるのは、
仕入れの代金をいつ支払うか、また、売上代金がいつ入金されるか、
このタイミングもしっかりと把握しておく必要があります。
大抵の場合、先に仕入れないと売ることができませんので、
資金についても、出て行く方が先になるケースが多いためです。
また、仕入れの都度に支払が必要な反面、売上については翌月入金などの場合、
さらにお金の出て行くタイミングが早まってしまいます。

これらを総合的に勘案して、資金繰り計画を作成していきます。

資金繰り計画のサポート
ここまで一般的な資金繰り計画の作成手順等を書いてきましたが、
実際には、事業の内容や取引形態により、様々な方法を用いないと、
適切な資金繰り計画を作成できません。
起業の経理部や企画部で勤務されていた経験があったりすれば、
その計画作成は比較的スムーズに進むかも知れませんが、
そうした経験がない方には、少しハードルが高いかも知れません。

しかしながら、この計画という部分は非常に重要となってきます。
なぜなら、実際にお金が不足してからでは手遅れという場合が多いからです。
金融機関から融資を受けるにしても、申し込みの翌日に入金されるものではなく、
審査があってからの入金となるため、タイムラグが発生するからです。
そのタイムラグの間に資金が底をついてしまえば、そこでアウトです。
そうならないために、初期段階から計画を作成しておくことで、
事前に、いつ頃にどれくらいの資金が必要かをつかむことができ、
融資を早い段階で申し込んでおくことが出来ることになります。
また、場合によっては、起業時の自己資金をもう少しためてからでないと、
起業が難しいというような適切な判断をすることも可能になります。

当税理士事務所では、こうした計画作成のサポートも実施しております。
作成サポート自体には報酬をいただきますが、初回相談は無料でお受けしておりますので、
まずは、お気軽にお問合せフォームかお電話にてお問い合わせください。